QueeN Walkersのリーダーとして世界選手権にのぞみ、みごと世界2位に輝いたyuta14。いまやクラクラ界を代表するトッププレイヤーであり、配信者としても登録者1万人を突破した彼に、2020年、どういう思いで戦ってきたか。そしてクラクラの過去と未来について語ってもらった。インタビュアーはクラクラ界を代表するブロガーのpontaである。
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ponta:
今日はよろしくお願いします。
yuta14:
はい。このお店、めっちゃおしゃれですね。
ponta:
なんとなく入りましたが、男2人でクリスマスに来る場所じゃないかもです…。(※インタビューを行った日は12/22)
yuta14:
確かに(笑)
Twitter:
YouTube:
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ponta:
世界選手権、お疲れ様でした。
yuta14:
ありがとうございます。
ponta:
2019年、ドイツで行われた世界選手権では正直、海外のプロチームとけっこう差があったように思いました。一回戦で負けたじゃないですか。
yuta14:
はい。
ponta:
しかし今年は世界2位という素晴らしい成績でした。そのために何か、取り組んだことや頑張ったこととかありましたか?
yuta14:
まず去年の話をすると、あのときぜんぜん納得いってなくて。そもそも『負けた』とも思ってなくて。『負けた』というより『まだ勝つ途中なんだ』くらいの気持ちで取り組んでました。
ponta:
なるほど。私も2019年は現地で見ていましたが、ほんとうに納得いってなさそうでしたね。その『勝つ途中』を『勝ち』に変えるために、なにかやり方を変えましたか?
yuta14:
僕らももちろん変わったと思うんですけど、むしろ僕らをとりまく環境のほうが変わったという面が大きいです。2019年のときは、世界と戦う機会がCWLくらいしかなかったんです。だから世界と自分たちの実力差が見えづらい部分がありました。
ponta:
はいはい。
yuta14:
ただ今年は、去年の世界選手権が終わってからこっち、賞金付きの大会がめちゃくちゃ増えたんですよね。大小問わず。そのへんでいくつか優勝して、ドイツで負けたクランも倒して。なんだ俺ら、やっぱやれるじゃんと。やり方を変えたというよりも、その自信が勝利への力になったのかなというのはありますね。
ponta:
なるほど。
yuta14:
そうなると『なんだ2019年だって、俺たち勝てたじゃーん!』って、改めて悔しくて悔しくて(笑)それが逆に2020年の世界選手権まで続けてこれたモチベーションになりましたね。
ponta:
1年間、モチベーションを保つのって大変ですからね。悔しさが原動力だったんですね。
yuta14:
2019年のことはいまでも悔しいです。
ponta:
そんな、一般の大会で結果を出し続けてのぞんだ2020年でも、なかなかファイナルへの切符がつかめずにいましたね。
yuta14:
はい。実は予選の間ずっと、2019年の負けを引きずってて、『こんなはずじゃないんだよな~』っていう焦りがありました。だから、最後の予選大会の結果によってファイナルに出れなかったら、いわゆる選手としてのクラクラは辞めようかなと。それくらいに思ってました。
ponta:
えー!辞めるって…。やることをやったから、これ以上はやることがないって感じですか?
yuta14:
いや。自分の実力に対して疑問視し始めたって感じです。クラクラのスキルに関して自信が持てない時期があって。これで予選突破できないならもう、選手としてのクラクラはいいかなと。このことはメンバーにも言ってなかったんですけどね。そしたら決勝に出れて勝ち進めたんで。なので今は『そっか、勝ったか。どうしよっかな』って感じです。
ponta:
その決勝進出を決めた、予選突破の瞬間は、yutaさん自身が最後の最後に決めてドラマチックでした。あのときは、そういった思いが乗って、緊張してました?
yuta14:
それが、決めた試合はまったく緊張しなかったんですよね。ほかの試合は緊張してたんですが、それはやっぱり自信がなかったからだと思うんです。ただ最終予選のときは勝てる気しかしなくて、全壊を取れる気しかしなかったです。
ponta:
すごい。クラクラの神様宿りましたね。
yuta14:
たまにあるんですよね。世界大会のNiChang戦の、"取れなきゃ負け"ってシーンでも『絶対勝てるな』って気しかしなかったです。
ponta:
かなり意外なんですがメンタルが結果を左右するんですね。クールなパブリックイメージがありますけど。
yuta14:
僕はかなり左右されますね…。
ponta:
でもその活躍のおかげで、日本のクラクラコミュニティも去年より今年のほうが盛り上がったと思います。yutaさん自身も、それは実感しましたか?
yuta14:
盛り上がりは感じました。とくにYouTubeですね。今年はチャンネル登録者が増えてるってのもあるんでしょうけど、かなり違った層から応援されているなっていう、広がりは感じました。
ponta:
僕がyutaくんがすごいなと思ったのは配信者として1年間通してがんばってること。相当大変だったと思います。YouTube更新のモチベはどこにあるんですか?
yuta14:
シンプルにYouTube楽しいっていうのがあります。動画を作るのが楽しいですし、自分が楽しいって思うものを他人に共有できるのも楽しいですね。それに対していろんな人に反応いただいて…。自分のチャンネルを育てたいというのもありますし。
ponta:
育てたチャンネルは、eスポーツ選手としての財産ですよね。
ponta:
賞金の使い道はなんですか?
yuta14:
けっこう聞かれるんですけど、僕らはまだ、もらってないんです。
ponta:
じゃあ、これからですね。賞金はいくらでしたっけ。
yuta14:
2位は1,500万ちょいですね。それを5人で割る感じです。あっちの税金も引かれるので、手元に入るときはいくらになるのかなってとこですけど。
ponta:
300万と聞くと夢のある金額ですけど、yutaさんがこれまで世界大会のためにかけた労力と時間を考えると、決して高すぎはしない気もします。
yuta14:
といっても、僕、車も時計も興味がなくて。だいたいの欲しいものは手の届く金額なんで、すぐ買えるんですよね。配信環境を整えるとかかなあ。
ponta:
欲望も才能だと思うので、そこは欲深くなってモチベにしてもらえますと。そういえばプロ選手とか憧れはありますか?
yuta14:
んー。クラクラはプロになるメリットが現状はないんですよね。ただブロスタで世界一になったRelyh君とかめちゃくちゃ羨ましいです。
ponta:
というと?
yuta14:
パリ・サンジェルマンFCのところのPSG Esportsに所属のプロってかっこいいじゃないですか。自分、サッカーやってたのであこがれます。
ponta:
クラロワでいえば、けんつめし選手のRedBullのCMとか。
yuta14:
ですね。理想です。
ponta:
なるほど。yutaくんは物欲は少ないけど、ブランディング的なものへの憧れは強いんですね。
yuta14:
そうですね。サッカーやってたので、そういうのはかっこいいなあと思います。
ponta:
世界大会って、誰が配置作ってたんですか?
yuta14:
僕も配置作るの苦手なんですよね。海外の配置ビルダーの力を借りながら、あとはGAKU、stadra、メンバー外になっちゃいますがオルボーといったところですね。それでもカツカツでしたね。
ponta:
2019年にはいなかったSTARs(ホシ)さんが今年から急にQueeN Walkersに入ってきて、驚きました。
yuta14:
あちらからQueeN Walkers入りたいと言ってきてくれて。
ponta:
一般的に無名の存在でも、ちゃんとした実力があれば世界大会に挑めるというのは夢がありますね。これの読者の方が今からQueeN Walkers入りたいって思っても可能性ありますかね。
yuta14:
そうですね。まあSTARs(ホシ)さんの場合は実力はもちろんですが、普段から一緒にプレイしてどんな人かわかってたのが大きいですね。
ponta:
人間性、大事なんですね。
yuta14:
めっちゃくちゃ大事ですね。もちろん上手さも大前提ですが。彼はレジェンドリーグできっちり結果を出していたので、そこはまったく問題なかったです。
ponta:
クラクラが上手い人の特長って、なんですかね。
yuta14:
んー。クラクラの本質そのものを理解しているかどうかというのがとても大事だと思います。考える時間をかけてもそこができてない人は難しいですね。逆に言うと、時間をかけなくても、本質を理解している人は、ある程度ちゃんとできると思います。
ponta:
なるほど。何言ってるかわからないけど、わかるような気はします。
yuta14:
そのときそのときに何をするのが正解か、何が最適解かをわかっていることが大事ですね。その正解率を高め、裏付けるのはやっぱり練習量かなと思います。
ponta:
なるほど。そう言われてみると、僕もまったく同じ意見ですね。
yuta14:
(笑)
ponta:
2020年はクラクラのアプデがいろいろありましたが、環境を含めてどんな一年でしたかね?公式ブログだからと遠慮せずにどんどん来いよ!
yuta14:
(笑)。全体的には難易度は優しくなったし、インターフェースもいろいろ良くなったと思います。いいアプデが続いていますよね。まあ、僕ら、ゴーレム1体作るのに45分の時代を潜り抜けてるじゃないですか。それを考えればすべてが神アプデですよ。
ponta:
確かに。よく生き残りましたねお互い。『VERSUS』はおぼえてますか。
yuta14:
もちろん。
ponta:
あれでyutaさん自身はなにか影響ありましたか?
yuta14:
あのとき、はじめて表に顔出したんですよね。それで、チームは負けたけど、僕としてはすごく成功したなと思っていて。自信になったというのはあります。
ponta:
結果的に、劣勢を跳ね返すエースとしてめっちゃ美味しい役回りでしたね。
yuta14:
かなり美味しかったです。まさか二回出るとは。あれから勝負強いイメージがつきましたし、実際それから対戦ではここぞの場面で自分に回るようになってきたりしました。
ponta:
私事ですが、僕もあれに関わらせてもらったおかげでこういう業界に入りましたし、ドズルさんも医大生との二足の草鞋をやめてYouTuberに絞りました。いろんな人の転機や財産になりましたね。
yuta14:
またやりたいですね。
ponta:
そうですね。またああいう風にちゃんと戦う理由、見る理由がはっきりした大会を、あの規模でなくてもいいのでやりたいですね。そのときはyutaくんも主役の一人としてぜひ携わってください。
yuta14:
是非是非。
ponta:
『VERSUS』は3年前ですかね。ゴーレム作るのに45分かかっていたのは6年前か。yuta君はもしそのときに戻ったら自分になにを言いたいですか?
yuta14:
それはもう『早めにYouTubeやっとけ』ですかね。
ponta:
あー。きおきおさんがウィザードをドバ出ししただけで60万再生くらいしてたころですね(笑)
yuta14:
もう、めっちゃくちゃ羨ましいですね。
ponta:
まあ間違いなくyutaさんの人生は変わっていたでしょうね。即答なのがリアルですね。
ponta:
過去について聞いたので、次は来年の展望とか聞かせてもらっていいですか?
yuta14:
えー…(長考)。
ponta:
今度は長いな!『次こそ世界一を目指します!』の即答が返って来ると思ってましたわ。
yuta14:
来年こそ世界一を取りたいという自分と、どうしようかなっていう自分とがいて…。世界一を目指すことは、立ち位置的に今の自分だからこそできる貴重なことだとは思っているんですが。それと同時に、果たして自分がそこにいていいのかという思いもあります。選手としてやる以上は、そのレベルに達しないといけなくて、納得できるパフォーマンスが出せるかっていうのは一年通して見つめようかなっていうのはありますね。
ponta:
確かに、クラロワのプロプレイヤーでよくあるように、選手から監督になるとかも悪い選択じゃないですよね。
yuta14:
はい。
ponta:
選手としていけるところまでいってもらうことを、見てる側は望みますけどね。
yuta14:
そうですね。選手としてやれるって思う瞬間と、だめだって思う瞬間と半々ですね。
ponta:
まあ、働きながら、YouTubeやりながらの選手なわけで、そういう意味ではハンデがありますもんね。忙しかったでしょう?
yuta14:
はい。そういう意味では、今年はかなりいろいろ絞ってきた一年だったと思います。私生活も、クラクラの中でも。
ponta:
ミックス(※)での戦いとかですか?(※『ミックス』=TH13だけではなく下位THも混在した対戦のこと)
yuta14:
ミックスは世界一を目指すためには必要ないので辞めて、大人数戦も辞めて、絞って絞ってたどりついた世界選手権と言えると思います。
ponta:
『捨てるほうが難しい』って言いますもんね。
yuta14:
捨てるとなると、僕だけじゃなくて、他のメンバーも巻き込むところがあるので…。僕の意思で振り回したみたいな部分があるので心苦しかったです。
ponta:
わかります。自分もクラン(※『群馬帝国遠征軍』)の形を変えたときは、思うところはありました。寂しかったです。
yuta14:
ですよねー。ずっとやってきたっていう思いがあるので。
ponta:
畳んでしまった『はぐれメタルの城』には愛着がありましたか?
yuta14:
かなりありましたね…。前のリーダーから預かったものでもあるので…。
ponta:
そんなに忙しいのに、おかしなバラエティ(※)には呼び出されるしねえ。(※pontaがプロデューサーを勤める「ポンコツのぼんクラ」)
yuta14:
いやいや(笑)
ponta:
来年について伺ったので、次は『3年後の理想のyutaさんの姿』を教えてもらっていいですか?
yuta14:
現在の延長線上かなと思います。クラクラプレイヤーとして世界一になって、あとは英語圏でも自分のYouTubeチャンネルが人気になってたいというのはありますね。
ponta:
世界一を目指すうえで、クランに入れたいような、気になるプレイヤーはいますか?
yuta14:
んー。気になるプレイヤーはだいたい身内になってるので…。
ponta:
たしかに。ドリームチーム発言きましたね。来年もQueeN Walkers負けそうにないですよね。大会開いても『いや、どうせQueeN Walkersが最強っしょ』ってなっちゃう感じにいまなってますよね。
yuta14:
そーれはどうですかね(笑)時の運ですよ。
ponta:
なるほど?
yuta14:
大事なのは、その運の部分を練習で引き寄せていくってことなんじゃないかなと思います。
ponta:
いいこと言うわあ…。
yuta14:
ただ、最近のクラクラの大会は、ダブルイリミネーション形式(※)になって、運は出づらくなってると思います。実力通りのところが上にあがってますよね。(※『ダブルイリミネーション形式』=2度目に負けるまで優勝のチャンスがある敗者復活戦のある試合形式。)
ponta:
いやどっちやねん(笑)まあ、QueeN Walkersは練習でそれをいい感じにアレするとして、運営周りで希望することってありますか。こういう大会があったらいいなとか。
yuta14:
アジアの大会が開かれてほしいですね。北米とかヨーロッパは地域大会があるので、いいなーって思います。
ponta:
確かに、アジアで戦う日本のチームはそれだけで応援する理由になりますよね。参考になります。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
yuta14:
ありがとうございました!
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"天才"と呼ばれるyutaさんのクラクラプレイヤーとしてののスキルを疑う人はいないはずだ。リーダーシップも含めて、メンバーからの信頼も厚いだろう。しかしインタビューを通じて、時には自信をなくし、悩む生の声を聞くことができた。高いレベルで戦うプレイヤーの宿命を感じた。いっぽうで配信者としての伸びは著しく、成長実感に楽しく取り組んでいる様子も見られた。
プレイヤーとしてより高みを目指し、配信者としても活躍するyutaさんは、今後もクラクラコミュニティをその背中で引っぱって行ってくれることだろう。
(文責・写真:ponta)